
こんにちは、出水市の丸久建設(株)です。
今回は、「パッシブデザインの5つの設計項目」シリーズブログの第3弾、【自然風利用】です。夏季に、自然の涼しい風を取り入れる手法は、日射遮蔽と合わせて効果的な夏の快適な過ごし方になります。自然の風を利用したパッシブデザインの設計手法をご紹介。
(3)自然風利用

パッシブデザイン
身体に風が当たると涼しいと感じます。特に低温の風が当たるとより涼しく感じます。
この効果を利用しようというのがパッシブデザインの自然風利用におけるひとつ目の狙いです。
もうひとつの狙いは建物に溜まった熱を外に出すことです。これは換気による排熱ということですが、これも低温の風を通すほど効果が大きくなります。
このことからわかるように、自然風利用は外気温が比較的低いときに行うのが有効です。
つまり、盛夏の日中に風を通すことを考えるのではなく、盛夏であれば夜間を中心になり、盛夏の前後(中間期)であれば、日中でも風を通すことが有効な日や時間がある地域が存在します。
パッシブデザインの自然風利用で大事な事は、建築地の「風の特性」を知るということです。特に、「涼しい風」を必要とするのは夏期なので、7月・8月・9月の風の特性が必要になります。また、昼と夜の風の特性も知りたいことです。
1.卓越風向をとらえる
卓越風とは、ある一地方で、ある特定の期間(季節・年・昼夜)に吹く、最も頻度が多い風向の風。主風。常風。

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各地の卓越風のデータが閲覧できる「IBEC」(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)のホームページにあります。
このデーターより、夏の風を読み取ることができます。
しかし、観測点から離れた場所はデーターが少し違ったり、風は山や川といった自然物の影響を受けるし、建築地周辺の環境にも影響をうけるので、あくまでもこういったデーターは「ざっくりとした傾向をみる」というのが適切です。
2.窓面積を確保する

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窓は、大きい方が風通しがよくなるのは当たり前ですが、大きな窓ばかりにすると建物の断熱性能が悪くなったり、夏熱くなったりします。そこで、国から出ている「通風のための窓面積基準」を参考に、窓の大きさや配置を考えます。
3.立体に風を通す

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吹き抜けや階段室を通る風を考える。最上階の出来るだけ上部に「高窓」を設置して、室内に溜まった熱を排出させる。
4.ウインドキャッチャーで風をつかまえる。

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普通の引き戸では、壁に平行してくる風はあまり室内に入ってきません。そうした風ををつかまえて室内にいれる装置がウインドキャッチャーです。
パッシブデザインで自然風利用を考える時に、注意しなければならないのが「湿度」です。夏期の暑い時に涼しい風をいれるのが快適ですが、風と一緒に夏のジメジメとした湿気も入ってきます。
パッシブデザインの実務者の中には、夏はエアコンをかけて、外部からの湿度を入れない考えをお持ちの方のいらっしゃいます。
パッシブデザインの考え方は幅が広いので、パッシブデザインの実務者からよく説明を受けることが大事です。