「坪単価いくらですか?」
「坪単価いくらでお願いしま」と、
よく、坪単価に関する問い合わせを受けます。
坪単価の問合せは、ホームページやチラシ・雑誌などで、坪あたりの価格○○万円~と、坪単価価格だけを強調している広告がたくさん存在しているからでしょう。
なので、初めての家づくりではその坪単価の価格だけを見てそれを信じて、希望坪数にその坪単価価格を掛け算して予算を考えてしまいます。
例えば、坪30万と書かれていて、あなたが希望する家が延床面積30坪であった場合、30万×30坪=900万で家が建つんだ、と。
しかし、この「坪単価」ですが、お客様にとってはおもわぬ罠があるようです。
決して、坪単価×希望坪数では家づくりは出来ないと考えておいて下さい。
今日はこの「坪単価」について説明をしていきたいと思います。
目次
坪単価にかかわる建築用語の3つ定義
・坪単価
一坪(約3.3㎡)あたりの建築費がいくらかを表します。
一般的には、住宅の「本体価格」を「延床面積」で割ったものです。
たとえば、本体価格が2,000万円、延床面積が40坪の場合なら、
坪単価は、2,000万円÷40坪=50万円です。
・延床面積
建築基準法にしたがって各階の床面積を合計したものです。
玄関ポーチ・ロフト・ベランダ・吹き抜け部分などは含まれません。
・施工床面積
実際に施工した面積のことです。
床面積に吹抜けや玄関ポーチ、ロフト、ハルコニーなどの面積を加えたもので実際に工事する面積です。
ただし、どの部分までを含むかは明確な基準がなく、各社によって算定方法が異なります。
坪単価に関する4つの疑問
坪単価は信用できるの?
1.本体価格はどこまで入っているの?
一般的には、坪単価は本体価格を延床面積で割って算出します。
本体価格は、生活できる状態までの全ての工事価格であれば、実に参考にしやすいと思いますが、実はそうではありません。
登記や保険関係の雑費が含まれないのは、ある程度理解できると思いますが、それ以外の費用を全て本体価格で表示するところもあれば、照明器具、エアコン、カーテン、システムキッチンまでも含んでいない会社もあります。
大手メーカーに多いのが、坪単価は低く表示して、雨戸やカーテンレールや網戸、コンセントやテレビアンテナ等などをオプションにしている会社もあります。
結局、住宅完成時には「他よりも高くなってしまった」という話はよく聞かれることだと思います。
本体価格は、どこまで含むという定義はないので、ハウスメーカー・工務店の裁量で各社決めています。
なので、坪単価を参考にする場合は、全てを含んだ価格で聞くことが大事です。
2.延床面積で計算してる?
坪単価は本体価格を延床面積で割って算出でした。
しかし、ハウスメーカー・工務店の中には、延床面積ではなく施工床面積を使って坪単価を計算することもあります。
延床面積に比べて施行面積の方が広くなりますので、見かけの坪単価が安くなります。
安い坪単価表示は、興味を引きやすくなるのです。
本体価格が2,100万円 延床面積30坪(施工床面積42坪)の住宅の場合
延床面積の算出の坪単価 2,100万円 ÷ 30坪 = 70万円/坪
施工床面積の算出の坪単価 2,100万円 ÷ 42坪 = 50万円/坪
となり20万円もやすく見せる事ができます。
こんなの、坪単価の出し方をどう思いますか?
坪単価も、実は明確な基準がないために、ハウスメーカー・工務店の裁量で決められています。
なので、坪単価を参考にする場合は、計算根拠を聞くことが大事です。
平屋と2階建ての坪単価はどっちが高い?
同じ面積、同じ材料、同じ計算方法であれば坪単価は平屋が高くなります。
キッチン、ユニットバスなどの設備はどちらも同じですが、2階建ては基礎の工事、屋根の工事が平屋の半分の面積で済むので安くなりますので坪単価は安くなります。
ただ、安いから2階建てに決めるのは、ちょっと待った!です。
2階建ては階段スペースがあります。
階段は必要ですが、生活空間として機能しません。
階段を除いた有効スペースだけを比較すると、平屋と2階建て、ほぼ同じ坪単価になります。
なので、費用の面では平屋、2階建てにこだわる必要はないと思います。
同じ面積だと、家の形が違っても坪単価は同じ?
周りを見ますと、真四角の家や凹凸のある家、特殊な外観をした住宅、様々ですね。
同じ材料を使って、同じ面積であれば金額も同じように思いますが、実は違うのです。
上図は全て、同じ面積の住宅ですが坪単価は違ってきます。
凸凹があれば、基礎や屋根の工事の面積、外壁の面積も増えますから、材料・作業手間が増え、工事費用が高くついていきます。
従って、シンプルな形の家程、工事費用が安く抑えられ、坪単価も安くなるのです。
大きい家も小さい家も同じ坪単価でできる?
40坪のこの家は坪50万円です、と説明する工務店に建築をお願いする場合に20坪の家も50坪の大きさの家も同じ坪50万円の坪単価で建築できるのでしょうか?
実は、小さい家より大きな家のほうが当然ながら坪単価が落ちます。
その理由は、小さい家でも大きい家でもシステムキッチンやユニットバスなどの生活に必要な設備機器などは、同じコストがかかります。
大きい家になればなるだけ、キッチンも2つ、3つ必要ということにはならず、その他の部屋の工事が増えるだけなので、坪あたりの価格は安くなっていくという理屈です。
同じ材料を使った家でも、小さい家は坪単価は高くなり、大きな家は坪単価は安くなるのです。
坪単価のまとめ
坪単価は、大きな目安程度に考えるのはいいですが、そのまま予算組みしてはいけません。
それぞれのルールや判断基準が違う本体価格や工事面積による坪単価の比較は、あまり意味がないのが現状なのです。
どうしても、家づくりの初期の時点で坪単価を参考にしてメーカーや工務店の金額比較をしたい方は、総工事費用を床面積で割った坪単価と、その家の大きさ(坪数)を聞くようにしましょう。
そして同じ大きさ、同じ材料で作った家での坪単価を比較しないとどちらが安いのかはわかりません。
注意点として、ハウスメーカー・工務店各社使用する材料が異なるので、本当の意味での高い・安いの判断はとても難しいのです。
皆さんは、一部の坪単価だけや建築本体価格だけの比較だけではなくて、家づくりそのものにかかるトータル金額で考えるようにしましょう。