
鹿児島・出水市を拠点におく丸久建設。今回は「冬も夏も快適な家」のお話しです。
夏も冬も、家の中では我慢することなく、快適に過ごしたい。
「夏は暑さを、冬は寒さを我慢することで人は病気に負けない強い体になる」と信じている方もいるようです。
しかし、残念なことにそうではないと証明されています。
前回、健康面からの最適室温度の話をしました。
「健康を維持するための、適した住宅の室内温度をご存じですか?」
今回は、快適と感じる室内温度の話です。
健康な室内温度=快適な室内温度 だと分かり易いのですが、実際は違うのかどうか。
どちらを優先するのか、どちらも大切なので両方を満たす室内温度が理想です^^
今回も快適で健康な省エネ住宅を研究しているパッシブデザイン協議会 代表理事 野池政宏さんの「パッシブデザイン講義」を参考にお話ししていきます。
※野池さんの「パッシブデザイン講義」の中で「快適性」の指数とするのは「PPD(予測不快者率)」を活用したものです。
これは「PMV(予測温冷感申告)」と連動した指標であり「温冷感に影響する要素の状況によって、どれくらいの割合で不快と言う人がいそうか?」という割合を示します。
単純な数値で評価されるPMVよりもイメージがしやすいので、ここではPPDを使います。
健康面で望ましい室内温度
(前回のおさらいです)
この健康面からの室温度
冬:居室下限 15℃
非居室下限10℃
夏:居室上限 32℃
を元に、「快適面」での室温度を検討してみたいと思います。
快適と感じる室内温度
冬の場合の検討
「健康面」での居室の下限である「15℃」では、上図①の着衣量のときに「不満率が20%程度」となります。
野池さんの経験では不満率30%近辺(13℃)が「およそなんとかなる」の境目だと考えられます。
従って、この数値は「結構いける」と判断してよいと思います。
また「健康面」での非居室の下限である10℃では、①の着衣量では厳しいですが、②なら(ガウンを羽織れば)大丈夫です。
この「非居室下限10℃」というのは、ほぼ「真夜中の廊下や階段室」という設定であり、夜中にトイレに行くときはガウンを羽織ればなんとかOKということを示していると思います。
夏の場合の検討
夏の「健康面」での居室上限32℃(ほぼ無風)では約85%が不満となっています。
これはそもそも「家に中で熱中症にならない限界」という設定だったので当然ですね。
そして微風の風が当たると不満率は70%程度に落ちます。
そして1℃下がって室温31℃になれば一気に46%程度に落ちます。
これは「室温より1℃だけ低い、外の涼しい風を入れる効果」を示していると考えてよいかもしれません。
この様に、「健康面」から考える最適な室温度は、「快適面」からも適していると考えて良いのではないかと思います。
もちろん、冬は15℃以上の温度が、夏は31℃以下の温度が快適ではあると思います。
エアコン等を使えば実現する温度です。
しかし、光熱費を抑えられて温度を実現できればうれしいです。
まとめ
野池さんの推奨している「パッシブデザイン」は、 自然エネルギー(風と太陽)の最大限の活用で、エアコン機器を使用しないで、健康面・快適面に適した室温度を目指す設計なのです。
これからの時代、「快適で健康」な、そして「省エネ」な家作りが求められてくると思います。
また、省エネな家づくりは月々の光熱費の支払いが安くなるメリットもあります。
良い家づくりはいろいろな面でメリットを生んでくれます。
「パッシブデザイン」は、材料や工法とは異なり、設計なので多額の費用がかかることはありません。
これから家つくりを考える人は、是非「パッシブデザイン」を採用することをお勧めします。