
こんにちは、出水市の丸久建設(株)です。
今回は、「パッシブデザインの5つの設計項目」シリーズブログの第5弾、【日射熱利用暖房】です。冬季の機器を使わず暖かく過ごす手法です。夏季とは逆に自然の太陽光を家の中に取り入れるパッシブデザインの設計手法をご紹介。
(5)日射熱利用暖房

パッシブデザイン
パッシブデザインの日射熱利用暖房は、断熱性と蓄熱性を一定以上に高めた建物のおいて、窓からたくさんの日射を入れ(太陽熱を獲得し)、蓄えた熱を主に夜間に暖房として使う手法です。
「集熱(日射取得)」「断熱」「蓄熱」をしっかり考えることで高い効果がえられます。地域の気象条件(冬の日射量と外気温)を考えながらこの3つのバランスをうまく整えれば、室温変動が小さくなって快適性が向上し、かなりの暖房エネルギーの削減が期待できます。
※ただし、実際の設計においては「蓄熱」が大きな課題になります。とくに一般的な木造住宅では蓄熱性が低く、射熱利用暖房の効果を得るためにはかなり大幅に蓄熱性を上げる工夫をしなければなりません。まだまだ「蓄熱」に関しては手探りで設計を進めていかなければならないのが現状です。
1.窓はストーブと考えよう
上で書いたように「日射熱利用暖房」は中々難しく、手探り状態と書きましたが、冬に太陽熱を入れるだけでも大きなメリットはあります。
特に南国鹿児島・宮崎は冬の太陽の日射量が多い地域です。先に述べた「断熱性能」を高めると熱ごもりで暑くなるので、「断熱」重視の冬の暖かさではなく、「日射取得」の暖かさを考えなければいけません。まさに、南国鹿児島・宮崎は「パッシブデザイン」を発揮できる地域だと思います。
※逆に北国北海道・東北は、冬の寒さが厳しく、また冬の日射量も少ないので「断熱」重視のパッシブデザインが求められます。「鹿児島・宮崎のパッシブデザイン」「北海道・東北のパッシブデザイン」「本州のパッシブデザイン」、「四国のパッシブデザイン」と、地域によってパッシブデザインも違いがあるという事だと思いす。地域の特性を最大限に活かすのも「パッシブデザイン」の胆・醍醐味、建築実務者の考え・腕ではないでしょうか。それだけ「パッシブデザイン」は奥が深いことだと思います。
窓は電気ストーブ2台分の熱を入れます。

パッシブデザイン
冬の晴れた日に、南に向いた窓から入る熱量は大きく、その窓から日射を積極的に取り入れることによって暖房エネルギーを減らすことが出来ます。
この事実は多くの人に認識されていないように思われます。「冬において南面の窓はストーブ」という認識を持つことが大切です。
パッシブデザインのまとめ
パッシブデザインの5つの設計項目
(1)断熱
(2)日射遮へい
(3)自然風利用
(4)昼光利用
(5)日射熱利用暖房
パッシブデザインの設計項目を用いて、「質の高い室内環境を実現させながら、省エネルギーに寄与する」家づくりが出来る。
また、パッシブデザインから生まれた「質の高い室内環境」が、ヒートショック対策・疾病等の改善の「健康面」に、温度差のない室内空間が「快適面」に多大なる効果を生み出していく。
そして、高気密・高断熱の家は「省エネルギー」にもなり、エネルギー問題・地球環境対策にも寄与している。
さらに、「パッシブデザイン」に真剣に取り組む建築実務者の中には、建物の外皮計算・一次エネルギー消費量などから「室温」を計算して導き出し、「冬の室温の最低温度」「夏の室温の最高温度」を割り出し、計算で「暖かい家」「涼しい家」を提案している実務者も存在している。
こういった実務者は、計算の中から「正確」な月々の光熱費を割り出し、住宅ローンでの換算で考えると「安く」なるという事も計算上でも、実績としても共有しています。「健康」で「快適」、「省エネ」にもなり、「適切な価格」の家つくりを考える時ではないでしょうか・・・
我々が考える、パッシブデザインとは、一言で表現すると、
「エアコンの暖かさと、陽だまりの暖かさ、どちらが好きですか?」
「エアコンの涼しさと、涼しい風を身体に受けるのとでは、どちらが気持ちいいと思いますか」
だと思います。
もちろん、パッシブデザインはエアコンを否定するものではありません。
上記の考えと違うパッシブデザインの捉え方をしている建築実務者もおられると思います。
エアコンとパッシブデザイン(自然のエネルギーの活用)をうまく活用されるパッシブデザインもあります。
そして、このブログの冒頭に書いた、地域の特性を活かしたパッシブデザインの設計手法でなければいけない事です。
パッシブデザインでは5つの設計手法をバランスよく、そして地域の特性を活かしたデザインでなければいけない事です。
北海道には北海道のパッシブデザイン
東京には東京のパッシブデザイン
鹿児島・出水市には鹿児島・出水市のパッシブデザイン
各地で気候・気温・日射熱と違います。この違いを考慮した設計がパッシブデザインです。
それだけパッシブデザインは奥は深いし、人生の中で大きな買い物になる家づくりを考えた時に、パッシブデザインの事を学んで、取り入れた家づくりが大事になってくるのではないかと思います。
少しでもパッシブデザインの参考になればと、このブログをかいてみました。是非、あたなにとっての「パッシブデザインの家づくりを」
※上記ブログ内容は、パッシブデザイン協議会 代表理事 野池政宏さんの「パッシブデザイン講義」「省エネ・エコ住宅 設計究極マニュアル」「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」を引用・抜粋しております。