気密性能が、改正省エネ基準で削除された理由

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お住いづくりには、(エアコンの設定温度、快適な室温をきめる、家の2つの性能)でお話ししたように、断熱性能と気密性能が重要です。

しかし、この気密性能ですが日本ではあまり重要視されていない様に感じます。

なぜなら、現行の省エネ基準では気密性能C値は削除されています。

今回は、この気密性能について考えていきます。

気密性能とは?

気密性能は「C値」で表し、住宅の隙間の大きさを表します。

気密性能「C値」は計算で表すのではなく、ある程度家の形が出来た時点で、気密測定器で実測します。

つまり、気密性能は施行者の技術も反映されます。

※数値の少ない方が気密性能がよく性能が良い住宅になります。

 

気密性能の効果

上の図の様に、隙間が大きい(気密性能が悪い)と出ていく暖かい空気も大きい。

従って、室内の暖かさを維持するのに大量の暖かい空気を暖房器具から排出しなければなりません。

しかし、隙間が小さいと(気密性能が良い)と出ていく暖かい空気も小さい。

だから、室内の暖かさを維持するのに少量の暖かい空気を暖房器具から排出すればよいことになります。

つまり、このように気密性能がよい住宅は、省エネな家なのです。

これまでの省エネ基準と気密性能

上の図にも書いてありますが、一つ前の省エネ基準「次世代省エネ基準」では、気密性能の基準も「C値5以下」と基準がありました。

(※しかし、気密性能C値5以下は世界の基準と比べたらかなり悪い数値です)

しかし、2012年施行の現行基準「改正省エネ基準」では気密性能数値「C値」は削除されました・・・。

何故、重要な気密性能数値「C値」が削除されたのか、世界の住宅関係者からも不思議に思われているとの話も聞きます。

気密性能C値が削除された理由

気密性能が削除された理由は色々と噂はありますが、ここでは東京大学院の前 真之准教授の本「エコハウスのウソ」より引用させてもらいます。

「H11基準には当初、気密性能を示す「相当隙間面積」の必要スペックが明示されたいた。
ところが2009年にこの気密性能の規定がスッポリ削除され、H25基準でも気密性能の基準は復活しなかった。
つまり、いくらスカスカでも断熱性能さえ所定の厚みが入っていれば、気密性能がなくても等級4の断熱を名乗れることになってしまったのである。
今後、H25基準の仕様最低限だけの断熱性能材を突っ込んだ「なんちゃって省エネ基準住宅」が市場にあふれるのは間違いない。
しかし、「気密なき断熱は無力」、絵に書いた餅にすぎないのは間違いない。」と。

そして、気密性能が削除された理由として、

(※出典:前 真之東京大学准教授 エコハウスのウソ)

「相当隙間面積は、完成後に測ないとわからない!
役人の立場では、図面でチェックできないと困るな~
大工の立場では、この忙しいのにいちいち計測なんてやってられるかい!」

前 真之先生は上記の様に自身の著書「エコハウスのウソ」で気密性能が削除された理由を書かれています。

また別の方からは、気密性能が削除されたのは「大手ハウスメーカー」の力により・・・という話も聞いたことがあります。

確かに考えてみれば、机上で検討・計算できるものはハウスメーカーは得意です。

また、多くが工場生産され現場は組み立てるだけの大手ハウスメーカーにはあります。

新しい材料・工法を考えて、断熱性能をどんどん上げる事ができます。

しかし、気密性能は現場での測定により出しますので、現場での職人の技術で気密性能は良くも悪くもなる。

だから、仕様として気密性能C値・隙間を管理できない、ということになるのでしょう。

 

換気にとっても「気密性能」は大事な要素。

現在においては、一般住宅においても「計画換気」が義務付けされています。

しかし、気密性能が悪い家は、部屋の隅々まで入れ替える換気が難しいと言われています。

・気密性能とも関係が深い「計画換気」とは。

 

■計画換気システムとは何か?
計画換気システムを採用することにより
24時間、健やかな空気を保つ事ができます。
近年は、PM2.5(微小粒子状物質)などによる
大気汚染、カビ・ダニ、花粉といった
アレルゲンの対策など、空気環境に注目が集まる中で、
住まい全体の通風など、計画的な換気に目を向けることも必要です。
室内の空気環境を清浄化することは、
ご家族の健康のために重要なポイントです。

 

・気密性能が悪い計画換気は、

気密性能が低い計画換気では、空気の流れのムラが出来て、部屋の隅々までの空気の入れ替えが難しい。

・気密性能が良い計画換気は、

気密性能の良い計画換気は、空気のよどみを無くし、部屋全体の空気の入れ替えが出来ます。

※気密性能と計画換気の関係性が分かる動画があります。↓↓↓をクリック。

http://biz-lixil.com/tv/play.php?id=5217964284001

 

気密性能の高い計画換気は、空気のよどみを無くしますので、「カビやダニ」の発生を防ぎ、住まい手の健康にも大事な要素になってきます。

現代病と言われる、アレルギー・アトピー・喘息、子供さんの為にも、気密性能の高い計画換気は必要だと思います。

 

まとめ

気密性能をおろそかにするというのは、施主目線・環境目線ではないですね。

これだけ、住宅先進国の欧米が気密性能にこだわっている中、国内でも気密性能の重要性は重々承知しているはずです。

大切な気密性能数値が省エネ基準から削除されてますが、工務店の中には気密性能の重要性を理解し、欧米並みの気密性能数値を出している工務店もあります。

そういう工務店は、目標の数値が出でるまで、気密性能向上のの工事をやり直すのです。

気密性能の数値通りの家づくりができると、ほぼシミュレーション通りの家に近づくのです。

例えば室温、光熱費、健康、快適さ等・・・。

建てる工務店に、「気密性能はいいくらですか?」と、確認することも失敗しない家づくりのひとつだと思います。

 

※大変なことが決まました↓↓↓

〇2019年1月追記ブログ

上記で国策として2020年に省エネ基準の義務化へ向かっていると記述して、現行の省エネ基準の性能をお話させて頂きましたが、残念な事に2018年12月の開催された国土交通省の有識者会議で、「2020年省エネ基準義務化見送り」の方針案がしまされました。

※「2020年省エネ基準義務化見送り」のブログはこちら≫

 

 

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