2020年に義務化になる「改正省エネ基準」はどんな性能?

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2020年に現行の省エネ基準「改正省エネ基準」が義務化になります。

この「改正省エネ基準」とは、1999年に制定された「次世代省エネ基準」を元に、2012年に改正した基準です。

今回はこの「改正省エネ基準」と「住宅性能」についてお話します。

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改正省エネとは4

上の図に書いてある様に、1999制定の「次世代省エネ基準」と、2013年に制定された「改正省エネ基準」の住宅性能はほぼ同じと言ってよいと思います。

変更点は「建築設備(暖冷房・換気・照明・給湯・太陽光など)」で、
一次エネルギー(石油・石炭・ガス等)の消費を「基準値」より下げる事が明記されました

『1999年、今から20年近い前の基準と今の住宅省エネ性能基準がほぼ同じ?』

『住宅設備という機器にたよる省エネが本当の意味の省エネ住宅か・・・?』

『健康問題や快適性からはどうなの?』

『光熱費は安くなるの?』

と色々と疑問が生まれて来ますが、一つ一つひも解いてみたいと思います。

 

まずは、「改正省エネ基準」の住宅性能は、世界の基準と比べてどのくらいか確認してみます。

ドイツと日本の省エネ性能の比較

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上の画像の様に、住宅先進国ドイツと比べてみますと、住宅の保温性能を示す「断熱性能を表す熱損失係数・Q(キュー)値」の比較は、

【ドイツ パッシブハウス基準「Q値1.0以下」

【日本 改正省エネ基準「Q値2.7以下」

(※数値が小さい方が断熱性があります)

でドイツと日本の差が『2.7倍』の差があります。

 

また、住宅の気密性能(隙間)の大きさを示す「隙間相当面積C(シー)値の比較」は、

以前のブログでも、住宅性能にとって断熱性能Q値と同じくらい大切な隙間の数値C値とお話ししましたが、この日本では削除されたのです・・・

上の図の様に、どれだけ断熱性能を良くしても、気密性能(隙間)が悪ければ、暖かい空気は逃げていきます。

また、暖かくするにはそれだけのエネルギーを必要としますので、省エネの観点から悪くなります。

 

この事は、世界の基準からすると逆行する考えで、世界の住宅に関係する方々からは、日本の基準に驚かれたみたいです。(※中には失笑される方もいたとも聞きます・・・)

日本で気密性能C値が重視されない理由

※隙間の基準が削除された経緯は、東京大学の前 真之先生が自身の著書「エコハウスのウソ」で下記の様に述べられています。

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『相当隙間面積C値は、完成後に測らなと分からない!!』

役人:図面でチェツクできないと困るな~

大工:この忙しい時にいちいち計測なんてやってられるかい!

と、気密性能C値が削除された理由が書いてあります。

気密性能C値は、計算では出せません。実際の施工している段階で、機械を使用して計測します。

ですから、役所の方が事前に図面確認できません。

また、現場も気密測定の為に一日ストップするので反対の声が上がっているということです。

※しかしこの他にも大きな理由があり、気密基準を厳しくすると、C値を出しにくい会社があるので、義務化にしてしまうと厳しい状況になってくから・・・、と聞いた事あります。(特に大手の会社になると気密性能C値をよくするのは難しくなると言われています)

 

このように、2012年に制定で、2020年に義務化になる「改正省エネ基準」は、世界の住宅先進国と比べかなり低い数値の基準といえます。

日本の家作りは、世界の家作りから30年遅れていると言われています。技術・工法が遅れているのでなく、「考え方」が30年遅れているのです。

性能による健康への影響

世界と日本の基準の差が健康にどれだけの影響を与えているか?確認してみます。

 

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この図は、住宅と健康で特に関係のある「ヒートショック」の関係性を表したグラフです。

「ヒートショック」とは、冬季に室内間で起きる気温の差で起きる脳疾患・心疾患で起きる死亡事故です。

特に浴室で起こる事故といわれています。

 

日本と世界を比べるとダントツで日本で起きる浴槽での溺死「ヒートショック」が多いです。

住宅先進国ドイツと比べると日本は17倍の「ヒートショック」が起きてます。

日本の住宅性能の低さが室内温度を下げ、暖房してる部屋としてない部屋の温度差が生じ、「ヒートショック」の事故につながります。

日本では、この「ヒートショック」の死亡事故は、「交通事後の死亡者数」の数倍多くなっています。

南国と言われる、鹿児島・宮崎でも「ヒートショック」の死亡事故は多いです。逆に南国と言われる地域の方が死亡事故は多いです。

それがだけ、南国の方々は、暖かい意識があり住宅性能・断熱に対する認識が少なっかったと思われます。

 

 

またほかの健康面で見て見ると、(近畿大学 岩前教授資料)

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このグラフは、近畿大学の岩前教授が数多くの実データーを取り、まとめたものです。

グラフの見方は、

縦軸が病気の改善率、横軸は断熱性能を表し、

【新省エネ(次世代)基準】→【改正省エネ基準】【ゼロエネ基準】の順に性能が高くなります。

そして、右上が病気を示す線の種類を表しています。

 

見て分かるように【新省エネ(次世代)基準】→ 【改正省エネ基準】では、若干の改善率のアップはありますが、

【改正省エネ基準】 【ゼロエネ基準】の改善率はかなりのアップになっています。

 

このことから、2012年制定の「改正省エネ基準」もそんなに高いレベルの住宅性能でないことが伺えます。

「改正省エネ基準」以上の、ドイツの家づくりに近づいた「ZEH(ゼロエネ)住宅」の家づくりが理想ではないでしょうか。

まとめ

このような観点からも、「2012年に制定された新しい基準」だから、「2020年に義務化になる基準」だから、安心・安全・最良ではなく、健康面からも「改正省エネ基準」以上の住宅性能が大切だと思います。

また、国もそのことは認識していて、2030年には「改正省エネ基準」以上の性能の「ZEH(ゼロエネ)住宅」の義務化を目指しています。そのために色々な「ZEH(ゼロエネ)住宅」への補助金を出したいます。

2020年義務化の「改正省エネ基準」は、あくまで「この基準以下の住宅は建ててはダメですよ」という、最低基準の認識として、「改正省エネ基準」以上の家づくりを目指すのが賢明ではないかと思います。

あくまでも、個人の見解ですが・・・。

 

 

※大変は事が決まりました↓↓↓

〇2019年1月追記ブログ

上記で国策として2020年に省エネ基準の義務化へ向かっていると記述して、現行の省エネ基準の性能をお話させて頂きましたが、残念な事に2018年12月の開催された国土交通省の有識者会議で、「2020年省エネ基準義務化見送り」の方針案がしまされました。

※「2020年省エネ基準義務化見送り」のブログはこちら≫

 

 

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※「改正省エネ基準」より良い家を建てると得する話です。参考に読んでみて下さい。

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