
こんにちは、家庭の省エネ活動「1985アクション」の鹿児島の拠点アドバイザー丸久建設㈱です。
今回は、「1985アクション」実務編②【冷房エネルギーを減らそう】です。
家庭でのエネルギーを消費する用途として、
①暖房 ②冷房 ③給湯 ④換気 ⑤照明 ⑥家電 ⑦調理 とあげましたが、
②冷房の事について書いていきます。
今回も引用資料として、1985アクションの「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」を使わせていただきますm(__)m
目次
冷房エネルギーを減らす。
「暖房エネルギーを減らす編」と同じ様に、まずは夏の熱移動から説明していきます。
「熱」は物質間の流れのことで、高温の物質から低温の物質に流れるとうい性質があります。
そのことを踏まえると下記画像の夏の熱移動がわかりやすくなります。

引用:暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)
夏の熱の出入りは、冬と違って若干複雑になります。
つまり、外気温が高くなる昼間は外から室内に熱が入って来ますが、夜は外気温が下がると室内から外部へ熱が移動し、昼夜で逆転します。
そして、主に窓から莫大な太陽の熱が室内に入ってこようとします・・・。
したがって、夏の室内を涼しくし、冷房エネルギーを削減しようとすれば、「日射熱を室内に入れない工夫(日射遮へい)」が大事になると。そして、「窓の日除け」が大きなポイントになる。
また、外気温が室温より低いと外の風(冷気)を入れることも効果ありと、「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」にも記載。
・熱ごもり
冬の断熱性能をあげるという事が裏目にでる可能性があるのが「熱ごもり」です。
断熱性能が高くなれば、室内から室外に逃げようとする熱が少なくなってしまい、室内に「熱ごもり」という現象が起きやすくなります。
一日中冷房をかけておけばかわりますが、一般的にはエアコンはかけたり・かけなかったりがほとんどだと思います。
この熱ごもり対策として重要になるのが、
・窓の日除けをしっかり
・他の部位に比べ、「屋根や天井」の断熱性能を向上させる
このように、夏の冷房エネルギーを減らすポイントは、「熱を室内に入れない工夫」が大きなポイントになります。
※断熱性能と一緒に、「全館冷房」や、「エアコンの24時間稼働」など、建築実務者やパッシブデザイン実務者の中でも議論されています。ここでは深く触れませんが、家を建てる時は、建てる住宅会社の考えを聞く事も大事かと思います。
冷房エネルギーを減らす5つのポイント
1)窓の日よけを行う
2)風を通す
3)集まって暮らす
4)冷房温度設定を低くしない
5)エアコンの選択と扇風機の活用
この5つのポイントで解説していきます。
1)窓の日よけを行う
夏の冷房エネルギーを減らすには、窓からの日射熱の侵入を防ぐことで、窓の日よけが大事とは述べてました。
そこで注目するのが、「窓ガラスと日除け部材」の日射熱取得率の数字になります。
「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」に各日射熱取得率の表がありましたので添付します。

「引用:暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」
日射取得率ですので、数字の大きいものが、熱を多く取得するという事です。
逆を言えば、数字が小さい方が熱を入れにくくなるという事です。
この表でわかる様に、「レースカーテンや内付ブラインド」の様に窓の内側に付けるものより、
「外付ブラインドやすだれ」といった窓の外側に付けた方が、日除け効果が高いのが見えてきます。
つまり、冷房エネルギーを減らすための窓での日除けは、「窓の外側」ですることが大事になってきます。
今は、各メーカーも窓の日よけの商品がたくさんあります。
・シェード
シェードと言われる部材で、洋風の家に似合ってスタイリッシュです。写真の大きさで2万~3.5万。
窓を開けた時に少し風を妨げてしますことがデメリットです。・すだれ
伝統的なすだれ。和風の家に似合い、安価であることが最大の魅力。
シェードと同じ様に、窓を開けた時に少し風を防げてしますのがデメリットです。・ルーバー雨戸
羽根が調節できて「日除け」「通風」「夜の視線遮蔽」の全てに対応しやすい。画像のもので一枚6万円。・外付けブラインド
羽根が調整できて「日除け」「通風」「夜の視線遮蔽」の全てに対応しやすい。電動と手動あり。10万程度~(引用:暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版))
〇庇・軒
最近では、デザイン的な観点から、庇や軒の無い住宅の多くなってきてますが、日除け効果には効果を発揮します。
「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)」に庇・軒の日よけ効果が記載ありましたので添付します。

引用:暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)
※南についている窓の庇はh=800mm、庇の出幅=300mmだとすれば、300mm÷800mm=0.375(hの約0.4倍)となって、
およそ45%の日よけ効果が判断できます。
ここで大事な事が、夏の日射熱侵入を防ぐためには庇・軒は長く出した方が良さそうですが、冬の日射熱取得を考えると、短いほうが有利です。夏の日射熱を防ぐ事と、冬の日射熱を取り入れることをバランスよくすることが大事です。
2)風を通す
風を通して冷房エネルギーを減らす条件は、「家の中より外の方が涼しいときに行う」ということです。
したがって、真夏では夕方から朝にかけてにほぼ限定されます。
それともう一つ考えておかなければならないのが、夏の湿気(湿度)です。
風を入れるという事は、湿気(湿度)をいれることでもあり、逆に不快に感じたり、ダニ・ノミの温床になる可能性もあります。
この風を採り入れる・湿気(湿度)お関係は、パッシブデザイン実務者でも色々な意見に分かれるところです。
・風通しのよい住まいのポイント
■全方位通風を目指す

引用:暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)
風を通したい部屋において「どの方向から風が吹いても風が通るようにする」
■風の設計手法
LIXILの方で「風を利用する」という資料がありましたので添付します。
3)集まってくらす
「暖房エネルギーを減らす」時と同様に「冷房エネルギーを減らす」のときも同じです。
家族のコミュニケーションを深める効果も出来ますし、今話題の頭の良い子が育つ「ダイニング学習」も実現できます。
4)冷房設定温度を低くしない
こちらの「暖房エネルギーを減らす」と同様に、「冷房エネルギーを減らす」でも適切な温度に設定することで、冷房エネルギー削減になります。
基準は28℃と「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4)」には記載してありました。
5)エアコンの選択と扇風機の活用
冷房に使う機器としては、エアコンがほとんどだと思います。そのエアコンの選択と扇風機の活用が効果あります。
エアコンも2006年以降の省エネタイプを使用し扇風機を活用すると、エアコン(2005年以前)を使用した時に、15%のエネルギー削減率になると言われています。
・エアコン
「暖房エネルギーを減らす」でも書きましたが、冷房の主流といったらエアコンになると思います。
ではこのエアコンは性能はいいのか?と聞かれれば、かなり効率の良い製品だといえると思います。
そして、世界のエアコンのメーカーの中でも、日本のメーカーのエアコンはかなりの高水準だと聞いた事があります。
住宅の性能は欧米に比べて遅れているのに、エアコンの水準はトップクラスだと。
(※住宅の性能は世界と比べて低いので、エアコンの水準を上げなければいけなかったのかもしれません・・・)
エアコンはヒートポンプという特殊な技術で効率をあげることで、電力消費が少なくなります。
電気を使う暖房機器の中ではエアコンは特別な存在であることを理解しておいてください。
エアコンのうまく使う考えが省エネにつながる様です。
まとめ
冷房エネルギーを削減する5つのポイント
1)窓の日よけを行う
2)風を通す
3)集まって暮らす
4)冷房温度設定を低くしない
5)エアコンの選択と扇風機の活用
上記のポイントで「冷房エネルギーを削減」について書きましたが、
「1)窓の日よけを行う」が一番のポイントです。
日射をどう室内に入れないか?この事が、2)~5)までの項目にも大きく関係してきます。
夏の日射をどうやっつけるか!!です。
次回は「給湯エネルギーを削減」について書いていきます。
〇関連ブログは
※暖房エネルギーをを減らそう!「1985アクション」実務編①
〇このブログは、多くは「1985アクション」の「暮らし省エネマイスター公式テキスト(第4版)) を元に書いていますが、一部私の主観やその他の引用資料を用いた部分もあります。間違い・勘違いの部分もあるかもしてませんが、ご理解頂きたいと思いますm(__)m